研修中、見た目健康な人でも血液検査で貧血を指摘される方が意外にも多く、

 患者さんからもしばしば、

 『貧血なんですが、何を食べたら良いですか?』とか

 『鉄分はどれくらい摂れば良いのですか?』と聞かれることが多い。 

 そんな質問にきちんと答えることができるように、まとめました。


 鉄は赤血球のヘモグロビンの主成分であり、筋肉のミオグロビン、肝臓のフェリチンにも含まれている。また、鉄は細胞内で酸化還元反応に寄与するシトクロムの成分にもなっており、電子伝達系にも関与している。

【鉄の主な働き】

・造血作用(赤血球を作る)

・成長促進作用

・エネルギー産生(主に電子伝達系が関与する) 


 
【鉄の摂取基準】


推奨量

 成人男性:7.5mg

 成人女性:6.5mg(月経なし)、10.5mg(月経あり)

 
 妊婦(付加量) :+13.0mg

 授乳婦(付加量):+2.5mg


上限量

 成人男性:50mg(18~29歳)、55mg(30~49歳)

 成人女性:40mg


※鉄は、人体では排泄機構が無く、
過剰摂取すると鉄沈着症(血鉄症、ヘモクロマトーシス)を生じ、
肝不全や心不全などを生じる可能性がある。よって、鉄の過剰摂取や頻回の輸血の際には注意が必要。



 鉄を多く含む食品は、レバー、肉、卵、ひじき、あさり、マグロの赤身、プルーン、レーズン、葉菜類、ゴマ、焼き海苔などがあるが、
 

動物性食品の摂取による体内鉄吸収率は、15~20% 

・海藻類や野菜などの植物性食品の摂取による体内鉄吸収率は、2~3%となる。

 よって、出来れば(他に問題となる基礎疾患が無ければ)、動物性食品の摂取が望ましい。
  
また、ビタミンCやタンパク質と同時に摂ると、鉄の吸収率が良くなる。


 ※鉄剤を処方する際に、シナールなどのビタミンC製剤を一緒に処方される先生もいます。

 また、ほうれん草は、鉄分を多く含まれますが、上述のように、植物性食品(非ヘム鉄)なので、
  吸収率が動物性食品に比べ劣ります。また、ほうれん草に含まれるアクの成分(シュウ酸)が、
  鉄の吸収を妨げる効果があるので、ほうれん草で鉄分を補給する際には、
 しっかりアク抜きをしてください。