予診とは、患者の来院理由を明らかにし、
 診断や治療法を決めるために必要な情報を聴いたり、
 精神医学的診察をすること。

 初診の患者さんの予診をとることは、精神科研修医のメインの仕事の一つです。

 ポイントをまとめました。

【重要なこと】

・来院理由

・患者または家族が何を希望しているか


【得るべき情報】

来院目的(主訴)

現病歴

→何に困っているのか、いつからそれが始まって、どうなったかを聴く。


既往歴

 過去にどのような病気になったか。

 ※特に精神科疾患の場合、今まで受けた治療や、

 その際にどうなったか(治療の効果、副作用など)を聴く。


・家族歴(精神疾患以外についてもしっかり傾聴する。)



【必ず行う精神状態の評価項目】


(1)外見・行動

 姿勢、歩行、体格、服装、整髪、清潔、若く見えるか老けて見えるか、

 おびえているか、落ち着きがないかなど。

 動作については、身振り、精神運動興奮、ぎこちなさ、癖などを観察する。

 会話では、声の大きさと速度、話さない(緘黙)、的外れな言動に注意する。

 また、初診時には、態度(協力的、拒否的、敵意、防衛的、過剰反応など)も

 しっかり観察する。


(2)意識レベル

 意識レベルの低下が疑われる際には注意力(数唱)、見当識などを評価する。

 軽度意識障害では、質問に対する注意の集中低下などがないか観察する。


(3)気分・不安

 診察室での様子や普段の行動を聴くことからも情報が得られる。

 症状は、抑うつ、多幸感、高揚、不安、怒り、易刺激性などを観察する。

 気分とは、情動の長期に渡る変化で、さかのぼった評価が必要。

 感情は、短期に変化する情動の動きで面接時の状態を捉える。

 抑うつ気分とは、『憂鬱』、『気分が晴れない』、『寂しい』などを意味し

 正常範囲の短期のうちに開腹可能な『もの悲しさ』とは異なり、

 程度が重く、多くは自己卑小感を伴う。(うつ病以外でも見られる)


(4)感覚・知覚の障害(幻覚)

 モード:視覚、聴覚、味覚、触覚、温痛覚

 強さ :知覚過敏、知覚麻痺・低下

 内容 :知覚変容、幻覚

 確信度:半信半疑なのか、病識があるのか等。

 

 ※知覚変容とは、大きさ、形、動き、色などが通常と異なって知覚されること。

小視、巨視、揺れ、着色などがあり、てんかん、ヒステリー、中毒性疾患などで見られる。

 ※幻覚とは、対象が存在しない幻の知覚であり、幻視や幻聴などがある。

 幻視:なんらかの意識障害下における脳器質性・症状性疾患でより多く見られる。

    見えるのは、人・動物など様々。

 →アルコール依存症では、小サイズの人や虫などの幻視がしばしば見える。

  幻聴:統合失調症で最も典型的で、多くの場合が幻声。

  幻臭:てんかん等で見られる。

    統合失調症、思春期では、自己臭幻覚症が見られる。

 体感幻覚:皮膚より内部の体内・内臓などに関する幻覚。

      統合失調症などでは多く見られる。


(5)思考障害

 ①思考形式の異常:思考過程(思路)の異常と思考の体験様式の異常がある。

 (ⅰ)思考過程(思路)の異常:概念の形成や概念操作の方法、論理の進め方や思考の早さや量といった側面の異常を指す。

 ・滅裂思考:観念と観念の結びつきに論理的関連が無くなってしまう状態。統合失調症に見られる。軽いものは連合弛緩といい、話を聞いてだいたい分かるが、まとまりが悪い。

 ・思考途絶:自分の意志に関係なく、思考の連続性が急に失われる。統合失調症に見られる。

 ・観念奔逸:思考の速度は速く、新しい着想が次々と沸き起こり、本人のその時の思いつきや偶然の出来事、ことばの音の類似性などによって思考の方向が左右される。相手に注意されると一時的に話題を本来の主題に戻すことができる躁病エピソードに多い。軽度の観念奔逸は健常者の酩酊状態でも認められる。

 ・思考制止:思考の進行が遅く、長時間努力してもなかなか次の表象が意識に現れず、会話のテンポが遅くなる。ひとたび生じた思考から容易に抜けられず、一つの話題に固執することもある。うつ病エピソードに多い。
※『決断力が落ちていますか?』、『いつも決まったメニューじゃないですか?』
  『同じようなことばかり考えて八方ふさがりになっていませんか?』などと問診すると良い。

 

 ・迂遠:細部にこだわり、必要以上に説明するために思考目標は失われないが回りくどく、要領よく思考目標にたどり着けない。てんかんや認知症に多い。

 

 ②思考の体験様式の異常

 ・強迫観念:その不合理性を自覚しているにも関わらず、

  繰り返ししつこく浮かぶ観念・衝動・イメージを指す。

  健常者にも起きる非特異的症状。

 ・恐怖症状:ある特定の対象や状況に伴って必要以上に恐怖・不安が誘発され、場合によってはそれを回避しようとする状況。典型的にはパニック障害、強迫性障害、社会不安障害に特徴的。

 ・心気症状:自身の健康に関する過度の懸念で、実際の器質的疾患には基づかず、むしろ身体的徴候や感覚が異常であると非現実的に解釈する状態。身体表現性障害という不安障害は心気症状を主要な病態とする。

 ・させられ体験:自分の思考・意志・感情であるにも関わらず、他の外的な力によって制御されていると体験する状態で思考奪取(他人に自分の考えを抜き取られる)、思考吹入(他人に考えを吹き込まれる)、思考伝播(自分の考えが他者に広まっている)などがある。いずれも統合失調症でしばしば認められる。



 ③思考内容の異常

 誤りであると知らせても訂正不能なものが妄想であり、

 成立の契機から一次妄想と二次妄想がある。


一次妄想:なぜそのような心理的現象が起きたのかが了解できない。妄想気分、妄想知覚、妄想着想など。

二次妄想:患者の異常体験、気分変調、状況などから発生的了解が可能な妄想で、被害妄想や微小妄想、誇大妄想などがある。