麻酔科を回る際に、絶対に覚えておかなければならないこと、
それはショックについてです。
 
必要最小限ですが、まとめてみました。
ざっと覚えておくと便利です。
 
【ショックの分類】

(1)血液分布異常性ショック(distributive shock)
①感染性
②アナフィラキシー
③神経原性

(2)循環血液減少性ショック(hypovolemic shock)
①出血性
【出血性ショックの重症度決定】
 1.皮膚冷感・蒼白などのショック症状
 2.脈拍数
 3.脈圧
 4.血圧
 5.ヘモグロビン


②体液喪失

(3)心原性ショック(cardiogenic shock)
①心筋性
②機械性
③不整脈

(4)閉塞性ショック(obstructive shock)
①心タンポナーデ
②肺塞栓症
③緊張性気胸



 【ショック・インデックス】

shock index(S.I)=脈拍数/収縮期血圧

S.I.=0.5〜1.0    軽症   出血量約1000mlまで
S.I.=1.5前後  中等度   出血量約1500ml
S.I.=2.0以上  重症   出血量約2000ml以上



例)
脈拍数120回/min、血圧60/40mmHgの時、
shock index(S.I.)=120回/60mmHg=2  → 2,000mlの出血

脈拍数150回/min、血圧50/30mmHgの時、
shock index(S.I.)=150回/50mmHg=3  → 3,000mlの出血(2,000ml以上の出血)



【触知可能な動脈と血圧の関係】
 
①全ての動脈が触知可 :収縮期血圧:90mmHg以上
→橈骨動脈が触れた時点で収縮期血圧90mmHg以上である。

②大腿動脈触知可 :収縮期血圧70mmHg以上

③頸動脈のみ触知可能 :収縮期血圧60mmHg以上

④頸動脈の触知不能 :心停止(PEAの事が多い)



【ショック時の酸素療法】

『SpO2が98%以上あるから酸素は不要』と思うなかれ!
 ショックは組織の低酸素状態であることを理解する。

 リザーバー付き酸素マスク:誰でも出来る高濃度酸素投与
 意識が悪ければ(GCS8以下であれば)、気管挿管を考慮する。



【ショック時の静脈路の確保】

 出来るだけ18G以上、二本以上の静脈路でルートキープを行う。
 末梢静脈(上肢>下肢)、外頚静脈
 大腿静脈
 鎖骨下静脈、内頚静脈
 骨髄内輸液路(小児)

 採血(血液型や血算などの検査、交差適合試験用)を行うこと!


【初期輸液療法と方針】

・Responders(安定化)→ 輸液
 
・Transient responders(一過性反応) → 輸血と止血

・Non-responders(無反応) → 緊急止血術


【初期輸液療法(20分)】
・加温(39℃)した細胞外補充液を急速輸液
→乳酸リンゲル(ラクテックⓇ)、酢酸リンゲル(ヴィーン FⓇ)

成人:1〜2L、小児:20ml/kg
出血量の3倍



【輸血療法】

・初期輸液療法(1〜2L)でTR(一過性反応)、NR(無反応)の場合
・さらに輸液負荷し、総量3,000mlまでに開始
・濃厚赤血球(RC-MAP)を使用
 加温
 放射線照射血
 交差試験適合血>型適合血>O型血
・輸液量:輸血量=3:1
 Hb:7-10g/dL、Ht: 24-30%を目安にする。



ざっとですが、研修中はこの流れを頭に置いておくと良いかも知れません。
もちろん、医療はup to dateですので、適宜自ら情報を得て、修正してください。

参考資料ですが、 日本赤十字社から出されている、
 『輸血療法の実施に関する指針』(改訂版)及び『血液製剤の使用指針』(改訂版)
をぜひ一度読んでおくと良いと思います。