クリニカルシナリオ(Clinical Scenario;CS)とは?】 


 急性心不全の超急性期の病態把握として用いられる概念。

 急性心不全を、最初に測定された収縮期血圧を基本に病態分類したもの。


 循環器科でしか使いませんが、循環器を回る時は知っておいた方が良いです。
  



クリニカルシナリオ(Clinical Scenario;CS)



【CS1】

・SBP(収縮期血圧)>140mmHg

・急激な発症

・びまん性肺水腫(軽度全身浮腫)

・血管不全


 CS1の患者は、症状が急激に進行することが多く、
 左室駆出率が保たれており、後負荷の増大が左心負荷の原因になります。

 全身の浮腫は軽度のことが多く、血圧の上昇に伴う充満圧の急速な上昇が特徴的です。
 治療は、利尿薬よりも血管拡張薬(ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、
   カルペリチド)、ACE阻害薬の早期投与が主体となります。

 

【CS2】

・SBP100~140mmHg

・緩徐な発症(体重増加)

・軽度肺水腫(慢性的左室充満圧上昇、静脈圧上昇)

・多臓器障害(腎機能障害、肝機能障害)

 CS2の患者は、通常症状は緩徐に進行し、体重増加を伴います。 
 肺うっ血よりも全身浮腫が優位で、慢性心不全の状態を呈します。
 腎機能障害(腎不全)、低アルブミン血症、貧血など臓器障害を合併しています。 



【CS3】

・SBP<100mmHg

・急激・緩徐な発症

・組織低灌流徴候

・軽度肺水腫、全身浮腫

・低心拍出症状または心原性ショック

 CS3の患者は、低灌流の徴候が優位であり、肺うっ血、全身浮腫ともに少ないです。
 多くの患者は進行した終末期心不全の状態を呈します。

 


【CS4】

・急性冠症候群


 他の原因による心不全を除外し、急性冠症候群に対する治療が必要です。
 
 

【CS5】

・右心不全

 肺高血圧または右室梗塞により発症し、三尖弁逆流を呈します。
 通常肺うっ血は認めず、左心系は低灌流を呈します。

  

【参考文献】
  1)レジデントのためのEvidence Based Clinical Practice(第17回心不全へのアプローチ)
 谷口俊文 


   2)日本心臓財団 循環器最新情報