研修医中は、自分で治療方針を考えたり、
患者さんに主治医としてインフォームド・コンセントを行ったりすることは
基本的にはありません。
しかし、研修医が終わったら、いよいよ独り立ちしなければ行けません。
そこで、 研修医中にインフォームド・コンセントの仕方を
しっかり見ておくことをオススメします。

自分の場合もそうでしたが、研修が終わり、
いざ主治医になってみたら、患者さんに情報を提供し、
治療の同意を得ることが意外と難しいことが分かると思います。 

副作用の恐怖から、本来行うべき治療の同意が得られなかったり、
治療中に、患者さんから相談があり治療方針が揺らいだり・・・。

そこで、今回は大先輩の外科医に教えてもらった、
インフォームド・コンセントについてのアドバイスをまとめてみました。

①エンパシーは良いけど、シンパシーはいけない。

 患者さんの痛みや苦しみに共感することは非常に大事です。
 エンパシー(
empathy)もシンパシー(sympathy)も、相手の気持ちに近づくという意味では同じですが、エンパシーは患者の感情を理解することであり、シンパシーは相手と同じ感情になることで、医療においては意味が変わってきます。

 抗がん剤や手術など辛い治療に立ち向かっている患者さんの気持ちに
 共感(empathy)をもって接し
、治療を行うべきです。
 しかしながら辛い治療を行っている患者さんを見て、感情移入してしまい(
sympathize
『患者さんが苦しんでいるから、この治療はやめよう』といった、
 本来の治療を変更するようなことに決してならないようにすることが大切です。
 

 患者さん(とその家族)が決めたdecision makingを完遂することが大事。
 下手にシンパシーを感じて治療方針を安易に変えず、
 一度
decision makingがなされたら、完遂できるようにサポートしていくことが重要。
 本人・ご家族が途中でドロップアウトしそうになった際にもまずはしっかり支えていく。

 

②治療に関して、メリット・デメリットを説明することは必須だが、

デメリットを強調し過ぎて、患者さんがdecision makingを誤る、

それは医師の責任である。


 大事なのは、
communication skillであり、

 『この治療をしても治らないものは治らない』、このような伝え方はしない。

 特に医師は、『死亡率が減少する』ことを重点的に説明するが、

 それよりも、患者さんにとって、『生きていくことのGAIN』を伝える。

 GAINとは、生存率や再発率など治療を受けることで得られるもののこと。

 治療を受けると、生存率が格段と上がることをしっかりと伝える。

 生存確率が良い方向に患者さんを導くのが医師の仕事。

 生存率は、統計論と確率論でしか語ることが出来ない。

 どんな治療も100%は言い切れない。

 そのことを説明する方法としては、

・飛行機に乗るのは、飛行機が落ちる確率が低いからですよね、

・車に乗るのは、車で事故をする確率が低いからですよね。

 治療も絶対はないですが、飛行機や車と同様、悪い確率が 低くなるように、
 細心の注意を払って治療していきます。

 

③治療について、正しい説明を行うためには、

 医師はevidence、最近の傾向、最新のデータを知らなければならず、

 医師は常に勉強をするしかない。

 

④主治医とコミュニケーションがとれているほど、

 患者さんは自分の病気を『治る』と思う。

 たとえ、治療の効果が十分でなかったり、検査の結果が悪いものであったとしても、
 患者さんには、『真実を受け入れる能力』がある。

 

 患者さんとのコミュニケーションは医師として大事にしなければなりません。
 十分なコミュニケーションがとれ、ラポールが形成出来ていれば、
 たとえ治療の経過が良くなくても結果を受け入れ、
 一緒に病気と闘っていくことが出来るということです。