小児科を回る前に、勉強しなければいけないのが、
予防接種です。

小児科を回る研修医のメインの仕事はの一つと言えます。
指導医からも必ず聞かれるので、ここにまとめた予防接種については、
しっかり勉強して覚えておいてください。

予防接種のスケジュールも重要なので、
小児科を回る前には、一読しておいてください。
※プリントして持っておくと便利です。 


ワクチンで予防できる子供の病気

 

Hib感染症(インフルエンザ菌b型感染症)】

 インフルエンザb型という細菌によって起こる感染症。ヒトの気道にいる常在菌の1種である。気道感染症の場合はインフルエンザ菌がウイルスなどによる気道感染に引き続き、中耳腔や副鼻腔、下気道に侵入・増殖して発症する。低侵襲性感染症の場合は、上気道に定着したインフルエンザ菌が粘膜から侵入し、血行性に感染を起こして発症する。

 Hib感染症は、細菌性髄膜炎や喉頭蓋炎、肺炎などを生じる。5歳までに感染することが多い。髄膜炎は早期診断が難しく、重症化すると死亡したり、重い後遺症が遺ることがある。

→ヒブワクチンで予防する。

 
 

【肺炎球菌感染症】

 肺炎球菌に感染することで起こる病気で、菌血症(敗血症)、肺炎、副鼻腔炎、中耳炎、心内膜炎、細菌性髄膜炎などが生じる。肺炎では、感冒様症状の後に発熱、悪寒戦慄で発症し、咳・痰を伴う。痰は膿性痰であり、時に血痰(鉄さび色)の痰となる。範囲が広がれば呼吸困難、胸膜まで炎症が及べば胸痛を伴う。

 髄膜炎では、耳鼻科的感染症の後に感染が波及して髄膜炎が併発することが多い。頭痛、嘔吐、発熱、意識障害を呈する。

→小児用肺炎球菌ワクチンで予防する。

 
 

B型肝炎】

 B型肝炎ウイルスに感染している母から分娩時に感染するだけでなく、感染している父親や兄妹姉妹など周囲の人からも感染する。子供の場合は原因不明の場合もある。肝炎になり慢性化すると肝硬変や肝臓癌の原因になる。

B型肝炎ワクチンで予防する。

 
 

【ロタウイルス胃腸炎】

 乳幼児が感染しやすい病気で、嘔吐と下痢を繰り返し脱水症になる。けいれんや脳症を合併することもある。感染力が大変強く、しばしば保育園・幼稚園で流行する。

→ロタウイルスワクチンで予防する。

 

【ジフテリア】

 ジフテリア菌が喉に炎症を起こす疾患。飛沫感染により患者および健康保菌者からヒトーヒト感染を起こす。潜伏期間は1〜7日程度。上気道の粘膜で増殖し、毒素を産生する。感染部位で産生された毒素は血中に入り、全身に散布され、親和性の高い心臓、神経、腎臓に達して全身症状を呈する。

 38℃以上の熱と、犬の遠吠えのような咳が特徴的で重症になると呼吸困難や神経麻痺、心筋炎を起こし、死亡することもある。ジフテリアは二類感染症であるため、診断した医師は直ちに所轄保健所へ届け出ることが義務づけられている。

→三種混合(DPT)ワクチンで予防する。

 

【百日咳】

 好気性のグラム陰性桿菌である百日咳菌は、患者の上気道分泌物の飛沫などにより経気道的に伝播、飛沫感染しその感染力は極めて強い。潜伏感染期間は12週間。

 連続した咳が長く続き、急に咳を吸い込むので、笛をふくような音を伴う呼吸困難、チアノーゼ、けいれん等が生じる疾患。乳児では、無呼吸状態になることがある。肺炎、脳症を併発することもある。 

→三種混合(DPT)ワクチンで予防する。

 
【参考画像】連促成の咳(staccato)とそれに続く吸気性の笛声(whoop, reprise)

 

【破傷風】

 土壌中の破傷風菌が傷口から体内に侵入し、菌の毒素でけいれんを起こす疾患。顔の筋肉が硬直して引きつったような表情になり、口が開きにくくなることが特徴的。重症になると強いけいれんで呼吸困難になることがある。

→三種混合(DPT)ワクチンで予防する。

 

【結核】

 大人は咳や発熱が続く。子供の場合は体重減少、発達の遅れなどで見つかることがある。乳幼児の場合は、粟粒結核や髄膜炎など重症化しやすく、後遺症が遺ったり、死亡することもある。

BCGワクチンで予防する。

 

【ポリオ】

 いわゆる小児麻痺と呼ばれる疾患。感染しても無症状または風邪症状であることが多い。解熱後に片側の手足に弛緩性麻痺を生じ、後遺症を遺すことがある。

→ポリオワクチンで予防する。

 
 

【麻疹】

 麻疹ウイルスによる感染症で飛沫により空気感染する。潜伏期間は718日、通常14日。熱、鼻水、咳などの症状で始まり、いったん解熱後、再度発熱(2峰性発熱)が生じる。特有の赤い発疹が顔から全身へ広がる(発疹期)。皮疹は出現45日後から消退し始め(回復期)、色素沈着を遺して消退する。

 子供では重い病気で、感染すると肺炎や中耳炎、脳炎を合併することがあり、死亡することもある。

→麻疹・風疹混合(MR)ワクチンで予防する。

 
 

【風疹】

 風疹ウイルスの感染症で、上気道粘膜からの飛沫により飛沫感染する。潜伏期間は1423日、通常1618日。発熱、赤い発疹、首のリンパ節の腫れの3症状が特徴的。熱が出ないことも多く、風邪に似た症状で普通は3日程度で治る。重症になると脳炎や血小板減少性紫斑病になることもある。

 周囲のヒトに感染させる気管は、発疹出現数日前から発疹出現後57日間。

→麻疹・風疹混合(MR)ワクチンで予防する。

 
 

【流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)】

 発熱とともに片方または両方の唾液腺(特に耳下腺)が腫れる疾患。通常は1〜2週間で治るが、無菌性髄膜炎や脳炎を合併することもある。0.010.5%の割合で治癒しない難聴(感音性難聴)になることもある。成人の睾丸炎は無精子症を起こすことがあり、不妊症の原因となる。

→おたふくかぜワクチンで予防する。

 

【日本脳炎】

 感染した豚から蚊がウイルスを運び、人を刺すことで感染し、脳炎が生じる疾患。人から人へは感染しない。感染しても多くは無症状だが、脳炎になると高熱、けいれん、意識障害が生じる。一度感染すると治療法がなく、死亡や重い後遺症の危険性がある。

→日本脳炎ワクチンで予防する。

 

【インフルエンザ】

 悪寒、発熱、頭痛、関節痛などの症状が出る。中耳炎、肺炎を合併することもある。脳炎を起こすと、後遺症を遺したり、死亡することもある。

→インフルエンザワクチンで予防する。

【参考文献】
内科学(分冊版) :矢崎義雄、伊藤貞嘉

※日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール