研修医生活で一番大変なのが、循環器と救急(ER)です。
 ERでは、失神・一過性意識障害を訴える患者さんに非常に注意が必要です。
 軽症例の中に、命に関わる重症例が紛れ込んでいるため、
 鑑別が非常に大事になってきます。
 今回は、失神・一過性意識障害についてまとめました。
  

【失神(Syncope)の定義】

①姿勢緊張の消失

2,3分以内の意識消失

2,3分以内で完全に回復

 

【病態】

35%以上の脳血流が減少

15秒程度の脳血流途絶

 

【鑑別診断】

1.心血管性

 不整脈(頻脈型、徐脈型、先天性)

 心疾患(弁膜症、心筋症、粘液腫、急性心筋梗塞)

 その他(大動脈解離、肺塞栓症、原発性肺高血圧症)
 

2.起立性低血圧

 脱水

 消化管出血、肝癌破裂、大動脈瘤破裂、子宮外妊娠破裂

 薬剤

 

3.神経介在性

 血管迷走神経反射

 状況性(咳、嚥下、嘔吐、排便、排尿、髪をといている時)

 頚動脈洞刺激性

 

4.中枢神経性

 てんかん、クモ膜下出血、TIA(一過性脳虚血発作)、脳底動脈領域片頭痛

 

【コメント】

 失神が起きると、すぐに『頭が原因』、『失神=頭部CT』と考えがちですが、

正確に失神の血芸を満たす場合なら中枢神経疾患、起立性低血圧は考えにくいです。
 まずは心血管性失神の否定に注意を向けた方が良いです。
 特に、心原性失神の予後は他の失神原因と比較して予後が悪い
 報告があるので注意が必要です。
Soteriades ES. Incidence and prognosis of syncope. N Engl J Med. 2002 Sep 19;347(12):878-85.

 

【心血管性失神を疑う時】

65歳以上、心疾患の既往、危険因子

・突然死の家族歴

QT延長する薬剤

→抗精神病薬、マクロライド系抗菌薬、抗ヒスタミン薬

・臥位、運動時の失神

・前駆症状(5秒以下)がない失神

・胸痛、動悸、呼吸苦が先行した失神

・心電図異常

 

【急死しうる先天性伝導異常】

1.WPW症候群

2.Brugada症候群

3.先天性QT延長症候群

※上記3つの疾患を持っている人に対しては最優先で精査を行う。

 

<注意が必要なエピソード>

・青年が臥位で失神

・青年が『時々気絶する』

・ストレッチャー搬送中に再度意識消失

・少年・少女、走っていて失神

※この言葉を聞くと、まずは心臓を考えましょう!!