研修医にとって、避けて通れない行事が上司との院外コミュニケーション(いわゆる飲みニケーション)です。

各科ローテーション中に必ずと言っていいほど誘われる、上司(上級医)との飲み会(食事会)について、知っておくべき『研修医の心構え』としてアドバイスします。


医師として働き始めると、様々な食事会の機会があります。

まず、絶対に言っておきたいこと、それは


『基本的に飲み会は絶対に出席した方が良いです!!』


研修医は、各診療科をローテーションする度に、上司(上級医)から食事会(飲み会)に誘われます。飲み会の内容ですが、


①上司(上級医・指導医)に誘われて行く飲み会


②病棟の診療グループ単位の飲み会(医師・看護師・コメディカルが参加)


③医局・病棟主催の食事会(オフィシャルな飲み会)


③は、新年会や忘年会、納涼会、ビアガーデン などがあります。



社会人としてのマナーも重要です。


①上司(上級医・指導医)に誘われて行く飲み会


 この飲み会は一番重要です。研修医を直接指導するのは、上級医・指導医になるので上級・指導医との関係を築くためにこの飲み会は必ず出席しなければいけません。どんなお店に連れてってもらえるかは、上司(上級医・指導医)次第ですが、多いのは働いている病院の近くにある居酒屋です。


【支払いについて】

 基本的には上司(上級医)のおごりです。だから財布を持たずに行ってもOK…とはなりません!!ポーズ(体裁)は社会人として非常に大事です。

 『先生、私はいくらお出しすれば良いでしょうか?』と聞きましょう。きっと上級医は、『いいよ、いいよ』と言って払ってくれるので、『ありがとうございます、ごちそうさまでした!!』と感謝の気持ちを込めてお礼を言ってください。万が一、割り勘だったり、一部でも出して欲しいと言われたら、上級医が全員貧しいか、自分が上級医に嫌われているかの二択ですので、家に帰ってから泣きましょう。

 会計の時は、金額が見えないような位置(後ろの方)に立っていましょう。支払いが済み、お店の外に出たら改めてもう一度、『先生、ご馳走様でした!!』としっかり頭を下げましょう。

 また翌朝、上級医に会ったら『昨日はご馳走様でした』と再度お礼を言いえば完璧です。そこから仕事の話にもっていければスムーズで『出来る研修医』だと思います。


【上級医・指導医からの視点】

 基本的に、最初の飲み会で『研修医の値踏み』を行います。まわってきた研修医がどんな人間なのか、指導するに値するのか、良好な関係を築いてやっていけるのかということを考えます。熱心に指導するに値するか、信頼出来る人間であるかを判断するための飲み会です。もちろん、熱意があり有能な人材であれば勧誘という目的も出てきます。

 診療科によっては、歓迎会と送別会で2回開催されることもあります。特に上級医に気に入られると、2回以上あります。



②病棟の診療グループ単位の飲み会(医師・看護師・コメディカルが参加)


 診療グループ(病棟グループ)の飲み会は、各診療科のグループ長(科長または看護師長)が日程を調整してお店を選びます。人数が多くなるので、お店は居酒屋の座敷になったり、部屋を貸し切ったりすることが多いです。

 飲み会(食事会)では、研修医にそれほど会話が振られることはありません。重要なのは、食事中に上司(上級医)、看護部長に必ずお酒を注ぎに行くことです。返杯もありますので、自分のグラスも忘れないようにしてください。もちろん、偉い人(上司・看護師長など)に挨拶に行った後は、看護師さんやコメディカルのスタッフの所にも挨拶に行きましょう。この病棟診療グループ単位の飲み会の最大のメリットは、普段あまり関わりのないスタッフに顔を覚えてもらえること、そして美人(またはイケメン)なスタッフに堂々と声をかけることが出来、あわよくばLINEの交換をすることも可能です。※ちなみに同僚はこの時のご縁で結婚まで行きました。好みのタイプの人がいたら、積極的に話に行きましょう!!プライベート色が強い飲み会なので、羽目を外さなければ気楽に楽しんでも大丈夫だと思います。



③新年会や忘年会、納涼会、ビアガーデンなど

 

 これは、数十人から100人以上となり、ホテルの宴会場やレストラン貸し切って行われます。参加者は診療科の教授をはじめとする医局員、看護師をはじめとする病棟コメディカルスタッフ、関連病院の関係者、そしてその家族と大規模なものになります。


 研修医が主役ではないので、影を潜めて参加しましょう。研修医は招待されないことも多いです。ただし、教授や部長、その他病院上層部の先生、開業された先生などが来られているため言動には注意しましょう。また何かの拍子にそうした普段接点のない偉い先生と話すことができるので、ぜひ顔を覚えてもらいましょう。

 特に、開業医の先生や、開業している病院の事務長には積極的に挨拶しておいて損はありません。




【どうしても参加できない場合】

 
 上司(上級医)からの飲み会の誘いは、急な場合が多いです。その日の気分、流れで「今夜飲み行かないか?」と言われることが多々あります。
もちろん、上司(上級医)の誘いを最優先にすべきですが、それが難しい場合は、正直に丁重にお断りをしましょう。しかし、この断り方でも印象が全く違ってきます。

 どうしても参加できない場合は、「すみません、今夜は外せない予定がありまして。○○科の飲み会が入ってしまっているんです。明日はどうでしょうか?」など、断る言葉に正直な理由を述べ、更に代案日を言うことが大切です。

 ここでいちばん大事なのは、嘘の理由を言わないことです。正直に参加できない理由を説明し、代案日を出すことで、上司(上級医)は「本当は参加したいんだな」と、気持ちを察してくれるものです。明日や来週など、なるべく近い日の代案日を提案してみましょう。

 その時点で上司(上級医)が、「じゃあ、別日にしようか」という反応であれば、なるべくその場で飲み会の日程を上司(上級医)に決めてもらいましょう。何故ならば、二度断ると、永遠に誘われない可能性があるからです。また今度・・・となったとしても、また都合の悪い日に「今夜はどう?」という急な誘いになる可能性もあります。

 二度断ることにならないよう、事前に日程を決め、確実に参加できる状態にしましょう。

 また、自分だけが参加できない場合は、「用事が済んだら駆けつけてもいいですか?二次会からでも参加したいです!」など、上司(上級医)に、「本当は参加したいのだ」という気持ちが伝わる行動をとりましょう。実際に用事を済ませ、遅れて参加すると「わざわざ来てくれたんだな」という印象が残ります。また、その逆で早めに切り上げる場合は、タイミングを間違えないようにしましょう。その場の空気を読み、盛り上がっている最中に切り上げるのは控えましょう。上司(上級医)がトイレで席を立つなどのタイミングで、一言告げてから退席するのがマナーです。

 後から参加するのと、途中で退席するのは、同じ印象を受けるように思いがちですが、全く違います。途中で退席すると「退席した」という印象が濃く、後から参加すると「わざわざ駆けつけて来た」という印象が残ります。そして、途中から参加し、最後まで同席すれば更にその印象が深くなるでしょう。




【まとめ】

 

 飲み会は、医師だけに限らず、社会人のコミュニケーション手段として最良の場です。

 誘われることを苦に思う人もいるかと思いますが、誘われるうちが華です。上司(上級医)も、期待していない部下を自分から声を掛けて誘うことはしません。

 飲み会を苦手としている人は少なくありません。しかし、社会人として人と関わらず仕事をするのは不可能といっても過言ではありません。人間関係・コミュニケーションさえ円滑であれば、仕事で困難な場面にぶつかっても、失敗してしまっても、「仲間」「上司」の存在があれば乗り越えられ、学ぶことができます。

 それとは逆に、仕事はスムーズに進んでも、人間関係・コミュニケーションが上手くいっていなければ、医局に馴染めない、相談できる相手がいないなど、仕事を楽しむことはできません。


 研修医の期間、どの科に進もうか考えながらローテーションの日々を過ごす人も多いかと思いますが、研修前半で「○○科に決めた!」と思っていたとしても、研修後半で「やっぱり△△科にしようかな」と悩むことがあります。

 最終的に進みたい科が変わったとしてもいいように、様々な科でコミュニケーションの手段である飲み会では手を抜かないよう、心掛けておきましょう。関係のない科だから、別に親しくしなくていいや、と思っていても、診療科同士で連携しないといけないことも多々あります。

 また、同期との交流の場で「○○科は飲み会が多い」「○○先生は急な誘いが多い」など、仕事以外の情報交換も欠かさず行いましょう。事前に知っておくと馴染みやすくなります。


 飲み会は、「楽しもう!」という気持ちで参加すれば、苦になりません。

 苦手な人でも意識を変えてみましょう。せっかくの機会・せっかくの時間を大切にしよう!という考え方に変え、気持ちを高めて楽しみながらコミュニケーションを取り、より良い研修医生活を送りましょう。