研修医マニュアル

研修医生活を送る作者が研修中に学んだこと、ポイント、その他を解説。

基本手技

放射線から身を守る

研修医では、循環器内科、消化器科、放射線科、外科、整形外科で『透視』を行います。
透視とは、放射線を出しっぱなしにして、レントゲンを撮りっぱなしの状態にしながら、医療を行います。そして当然、『放射線が出る=被曝』します。患者さんはもちろん、その場にいる医療者も同じ部屋にいる人は全員被曝します。

患者さんは、基本的に施行回数が少ないので問題となることはほとんどありません。
問題は、医療者です。特定の診療科の医療者は、その手技や治療を就労期間ずっと、定期的に行っていくこととなります。特に、血管内治療やIVRを行う診療科、そして消化器内科の医療者は被曝量が多くなります。

被曝を防ぐために、透視室に入る医療者は鉛のプロテクターを身につけます。そこで、無防備になるのが『目(水晶体)』です。自分が研修医の時も、目が無防備になっている研修医が多くいました。そして上級医でさえも、目を無防備にさせている先生がいました。


透視室に入る時は、絶対にパノラマシールドを装着してください。

鉛のプロテクターがないので、目は確実に被曝します。

特に、目の水晶体は放射線感受性の高い組織です。電離放射線によって、目は水晶体に白内障が生じてしまいます。実際、心臓専門医とカテーテル検査室に勤務するスタッフの調査で、十分に対策がされていない所では、水晶体混濁(白内障)が高い割合で発見されています。

白内障の発生は、確定的影響と言われ、発生する確率が、閾値のない線量の関数とされています。わかりやすく言うと、被曝量に応じて、確実に白内障が進行するということです。



『いやいや、透視下に入らなければ大丈夫でしょ!!』


という意見をよく耳にしますが、結論を言うと、ダメです。

透視下にいなくても、被曝します。


散乱放射線


























引用:保科製作所 https://www.hoshina.co.jp/xray_protective_option/barriers.html
散乱放射線と言って、跳ね返ってきた放射線が部屋中を飛び回ってしまうので、室内の人は全員漏れなく被曝してしまいます。だから、透視室内にいる医療者は全員、パノラマシールドを装備しなければいけません。


【パノラマシールドの欠点】
・直接線は防御できない
・重い
・視界が遮られる
・時々曇ることがある
・シールドの隙間からも散乱線が入射する

これらの欠点はありますが、散乱線においては大幅に防ぐことが出来ますので、透視室または手術室などで透視の手技を行う時は、必ず防護服を装備し、パノラマシールドを装着してください。

病院によっては、十分な数のパノラマシールドが置かれていなかったり、汚かったり、壊れていることがあります。また、見学者が増えたりした時には、数が足りなくなることもあります。怪しいなと思った場合や、将来透視を行う診療科に進む人は、ぜひマイパノラマシールドを持っていても良いと思います。

『いちいちビビってると仕事にならないから、そんなの必要ないっ!!』っていう上級医の先生がいるかもしれませんが、そのような発言は無視して、パノラマシールドはしっかりと装備してください。

自分の身は自分で守らなければいけません。

私は、東レのパノラマシールドを買いました。
当時はAmazonで取り扱いがなかったので、病院内の業者からかなり割高の値段で…。

今はAmazonで安く購入できるようになったので、研修までには準備しておきましょう。


聴診器の選び方

 ほとんどの医者は、聴診器を学生時代にまとめて購入します。
 私も学生時代に購入しました。
 当時、苦学生だったので、私は一番安い聴診器を買いました。

 研修医として働き始めて、すぐに欲しくなったのが 新しい聴診器です。
 学生時代に使っていた聴診器も十分聞こえたのですが、
 やはり、質の良い聴診器は使いやすい&聞こえやすいです。
 呼吸音や心雑音など、明らかに音が違って聞こえます。
 
 研修医時代に、一番驚いたこと・・・。
 それは、聴診器が異なると所見が異なってくるという事実でした。 
 なので、ぜひ聴診器は良いものを選んでください。
 きっと後悔はしないはずです。 
 
 循環器科の医師は、桁が違う超高性能な聴診器を使っていますが、
 今回は汎用性の高いものを中心に オススメな聴診器をまとめてみました。
 主に私と周囲の友人(主に同期)、先輩医師の評価、アマゾンでの評価です。
  
 ちなみに、私は大学病院で使う用と、大学で使う用で2本買い直しました。
 学生時代の聴診器はプライベートで使っています(意味深)  続きを読む

術後せん妄

【定義】

 手術による侵襲が原因で術前・後の相違に対して混乱を来たし、失見当識が生じることによって起こる、一時的な意識の混濁低下、錯覚や幻覚、興奮が見られる状態。指示に従うことが困難、健忘性、話のつじつまが合わない、体動が激しく、落ち着きがなくなるなどの症状が出現する。多くの場合は一過性であるが、せん妄が生じることで、場合によっては術後の回復が遅れることがある。また、高齢者の場合、術後せん妄から認知症ヘと移行することもある(もともと認知症の発症リスクが高かったところに、手術という身体的・心理的ストレスが加わったことで、認知症が発生した可能性は否定できない)。



【術後せん妄の特徴】

1.急激に発症する

  発症日時まで特定できることが多い。

2.前駆症状として不眠・不安を認めることがある

3.術後から発生まで1~2日の意識清明期がある

  日内変動があり、意識が一時的に清明となる場合もある。

4.幻覚としては幻視が多く、幻聴は少ない

5.身体的な重篤合併症はない

6.通常は1週間以内で軽快する

  数時間~数日続く場合があるが、比較的短期間で消失する。

7.後遺症を残さない



【発生要因】

1.年齢

 高齢になるほど発生する割合は増加する。特に8090歳代に多い。

 女性に比べて男性が多い

2.長期に渡る飲酒歴

3.身体的基礎疾患

 血管障害、肝・腎機能障害

 脳器質性疾患、認知機能障害(認知症)

4.術式・手術時間

5.術後合併症

6.全身状態の悪化

7.使用薬剤

 睡眠薬、抗不安薬、H2受容体拮抗薬(抗アレルギー薬)、抗コリン薬、ステロイド

8.鎮痛方法

9.環境

ICUへの移動、ICUからの移動などの環境変化

・アラームやモニター音などの過剰刺激

・感覚の遮断(音、明るさなど)

・臥床安静による身体的制限(身体拘束など)

・ドレーン・ルート類の留置(多ければ多いほどリスクが上がる)
10.睡眠障害
11.掻痒感・疼痛など身体的・精神的ストレス



【術後せん妄の予防】 
 手術によって生じる合併症や身体的・精神的ストレスを可能な限り減らすことで予防することが可能なため、早期に対応することが必要である。

①環境の調整

 なるべく静かで、昼夜の区別がつく部屋での管理が望ましい。

②睡眠覚醒リズムの維持

 日中、ラジオ・テレビ・音楽などを流すことで覚醒を促す。部屋のカーテンを開けるなどして、日中は明るい場所で過ごしていただく。家族の面会も重要であるため、感覚や情報を遮断しないように工夫する。

③疼痛の管理

 疼痛はせん妄の発生原因の1つと言われている。鎮痛は精神的安定を得るために重要であるが、鎮痛剤や安定剤の過量投与は、逆にせん妄や呼吸抑制の原因となるので注意が必要である。


【術後せん妄の治療】

 焦燥を伴ったせん妄には、ハロペリドールが第一選択となる。痙攣を伴ったせん妄にはベンゾジアゼピン系薬剤が第一選択となるが、焦燥・幻覚・妄想には効果がない。クロルプロマジンは、鎮静効果が強いがα受容体遮断作用、ムスカリン作用のため、心血管系および精神系への副作用が強いので使用には注意が必要である。プロポフォールは、鎮静度の調整が容易だが、高齢者の鎮静には十分な監視が必要となる。夜間のせん妄については、クエチアピン+ラメルテオンが用いられることが近年多くなっている。

インフォームド・コンセントの際のポイント

研修医中は、自分で治療方針を考えたり、
患者さんに主治医としてインフォームド・コンセントを行ったりすることは
基本的にはありません。
しかし、研修医が終わったら、いよいよ独り立ちしなければ行けません。
そこで、 研修医中にインフォームド・コンセントの仕方を
しっかり見ておくことをオススメします。

自分の場合もそうでしたが、研修が終わり、
いざ主治医になってみたら、患者さんに情報を提供し、
治療の同意を得ることが意外と難しいことが分かると思います。 

副作用の恐怖から、本来行うべき治療の同意が得られなかったり、
治療中に、患者さんから相談があり治療方針が揺らいだり・・・。

そこで、今回は大先輩の外科医に教えてもらった、
インフォームド・コンセントについてのアドバイスをまとめてみました。
続きを読む

研修医お役立ちサイト

研修医の時に役立つサイトをまとめてみました。

【臨床・診断など】
①Medical Online
 疾患についてや、論文を調べたい時の心強い味方。
 日本語なので、とにかくわかりやすいです。
  大学や病院によっては法人契約をしていると思うので、
 様々な情報が手に入ります。

②医中誌Web
 こちらも文献検索サイトです。Medical Onlineとは全くの別物ですが、
 自分にはあまり違いがわかりません。(詳しい方がいたらぜひ教えてください。)
 Medical Onlineで調べて、わからなかったら医中誌を使っています。

③CiNii(サイニイ)
 日本の論文検索サイトです。
  論文や図書・雑誌などの学術情報で検索できるデータベース・サービス。
 基本的には上の2つとほとんど同じ感じです。

上記3つは、個人的に使いやすいものを使えば良いかなと思っています。
もちろん、一つのサービスで十分な情報が得られない時は、
他のサービスで検索をしてみた方が良いです。


④Pubmed
 論文検索サイトの大御所。
 英語ですが、ほぼ全ての論文が検索出来ると言っても過言ではない!と思います。
 もちろん、契約内容により、読める論文と読めない論文がありますが、
 基本大学病院などでは、幅広く契約していると思うので、ぜひ活用してください。
 特に、最新の情報は、英語文献で調べないといけません。

⑤Up To Date
 エビデンスに基づいた情報を掲載するサイト、
 いわゆるエビデンスベースの臨床医師決定支援リソース
 治療を行う上で、エビデンスは当然必要であり、
 少しでも疑問を感じたら、必ず確認しなければいけません。
 このサイトは、そうした時にものすごく役立ちます。
 ※最近、日本語検索が出来るようになりました。

④MyMed(マイメド)
色々な情報が載っています。パッと知りたい時には便利です。


【画像の勉強】

①IMIOS
・e-Anatomyは、一部無料で、ほとんどが有料版ですが、勉強に良いです。
・特に有料版の頭部MRIはカラーで表示されることもあり、最高にわかりやすいと思います。
・料金は少し高いですが(年間8900円)、絶対に元は取れると思います。
(むしろ元をとれるくらい、ぜひ使って勉強してください!!)
※サンプルがあるので、ぜひお試ししてからで^^


②遠隔画像診断
・画像だけでなく、解説や鑑別診断も掲載されています。
・掲載量も多いので、時間がある時に閲覧すると勉強になります。


※他にも、オススメサイトがあったらぜひ教えてください。
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